中堅鉄鋼メーカーの中山製鋼所が私的整理での再建を目指し、三菱東京UFJ銀行など主要取引銀行に総額600億円程度の債権放棄を要請する方向で調整していることが29日、分かった。
国内需要の低迷や円高を背景にした安価な輸入鋼材の増加に加え、電気料金の値上げが業績悪化に追い打ちをかけた。鋼材の製造に大量の電力を使う電炉各社の経営環境は一段と厳しさを増しており、再編・淘汰(とうた)が加速しそうだ。
中山製鋼は1923年設立の老舗で、鉄くずを電気炉で溶かして製鉄する電炉メーカーとして建築用鋼材などを製造している。
同社は官民出資の企業再生支援機構と、筆頭株主の新日鉄住金にも増資引き受けによる支援を打診。会社更生法など法的手続きではなく、企業と債権者の協議で負債を減らす「私的整理」の手法での再建に向け、12月中の合意を目指す。