【サイバーウォーズ 危険感なきニッポン】(下)
2011年6月。米中央情報局(CIA)やソニーなどをサイバー攻撃したと主張する首謀者は世界に向けて、こう忠告した。
「犯行を公表しているわれわれではなく、公開されていない事実を恐れるべきだ」
世界中の企業や国の機関をターゲットに、サイバー攻撃を仕掛けることで有名なハッカー集団「ラルズセキュリティー」の挑発的な犯行声明だ。しかし、意外にも同声明に共感した企業関係者は少なくない。
自覚症状のないがん
サイバー攻撃は「自覚症状のないがん」に例えられる。日本では、攻撃を受けた側が情報漏洩(ろうえい)など被害に気づかないケースがあるからだ。
その点、愉快犯とされるラルズや政府などへの抗議活動のためにサイバー犯罪を引き起こす集団「アノニマス」は、自らの犯行を世間に公表する傾向にあり「ある意味で“親切”な襲い方」(企業幹部)という意見も目立つ。