東京でも指折りのおしゃれな住宅地として人気の「二子玉川」など、東急田園都市線沿線の街づくりを丸ごと輸出する初のプロジェクトが動き出す。
同沿線を抱える東急電鉄は、ベトナム南部・ホーチミン市近郊のビンズン省で進む新都市開発計画に参画。東京ドーム二十数個がスッポリと入る約110万平方メートルの街区で、今月下旬から住宅開発に着手する。同社にはバブル当時の事業の国際展開で“苦い経験”があるが、少子高齢化の進む国内事業では成長は望めないとみて、再び海外に活路を開こうと大勝負に打って出る。
「バブルの辛酸」越え
「素晴らしい街並みだ。こうしたものをぜひ、ベトナムにも造ってくれないか」
昨年春に来日し、東急田園都市線の沿線を視察したビンズン省政府の関係者らは、東急の首脳陣にそう協力を求めた。
ビンズン省は、2020年にハノイやホーチミンと並ぶ政府の「中央直轄市」に“格上げ”される予定の発展著しい有力自治体だ。街づくりへの誘いは東急にとっても悪い話ではないが、当初は参入に躊躇(ちゅうちょ)した。