金融機関に融資返済条件の緩和を求めてきた中小企業金融円滑化法(返済猶予法)の期限切れが来年3月末に迫る中、大手監査法人や投資会社などに、経営改善の企業再生サービスを強化する動きが広がってきた。
期限切れ後は、貸し渋りや融資条件の厳格化で資金繰りに窮する事業者が増えることが見込まれるためだ。金融庁によると、同法による貸し付け条件の変更件数は今年3月末で累計289万3387件、利用企業数は30万~40万社とされる。このうち5、6万社は抜本的な経営改善が必要との見方もあり、再生支援への期待が高まっている。
相談件数 半年で2倍
今月、あらた監査法人グループのプライスウォーターハウスクーパースは、約40人の陣容で「中堅・中小企業再生支援室」を事業再生部門内に新設した。
新日本監査法人も企業再生支援の担当を来年までに、現在の約100人から150人程度に増員する予定で、トーマツグループは再生支援の要員を3年前に比べて1.4倍に増員。グループ会社を含めて145人態勢を敷く、あずさ監査法人も「ニーズに応じて人員拡充も検討する」としており、国内の4大監査法人が軒並み返済猶予切れによる“危機対応”にかじを切っている。