投資家から集めた資金でオフィスビルなどを取得し、賃料収入や売却益を分配する不動産投資信託(J-REIT)の相場が上昇している。
今月18日には東京証券取引所に上場する全銘柄の値動きを示す「東証REIT指数」が、1年4カ月ぶりの高値をつけた。背景には不動産市況の底入れに加え、収益が海外動向に左右されにくく、沖縄県の尖閣諸島をめぐり日中関係が悪化する中でも「安全な投資先」とみなされていることがある。
東証REIT指数は4月に1000台をつけた後、落ち込んでいたが、9月下旬に再び回復。今月18日には昨年6月以来となる1034.98まで上げた。東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)が19日時点で754.39と、3月下旬の年初来高値(872.42)を依然下回っているのとは対照的だ。
不動産市場では、オフィスの供給ラッシュで市況が悪化する「2012年問題」が懸念されていたが、ここにきて大型物件の供給は途絶えつつある。このため、空室率が改善しており、賃料も下げ止まって賃料収入が増えていくと予想されている。