空調機器メーカーのダイキン工業が快進撃を続けている。海外を中心にM&A(企業の合併・買収)を次々と仕掛け、2010年度に空調分野で世界の頂点に上り詰めた。エアコンにこだわりながらも低価格路線を回避。運転を自動制御するインバーターなどの省エネ技術で差別化を図り、収益を拡大してきた。その経営手法は液晶やテレビ、半導体などで価格競争に敗れた日本の電機メーカーとは一線を画す。激しさを増す世界的な競争の下で日本企業が生き残る成功モデルの一つといえそうだ。
インバーターの強み
「北米での展開は長年の悲願だった。米国でも省エネ空調を展開し、トップメーカーの地位を盤石にする」。米国の家庭用空調最大手グッドマン・グローバルの買収を発表した8月29日の会見で、ダイキンの井上礼之会長はこう強調した。
ダイキンは米国進出に2度にわたって失敗した過去がある。メーカーと販売店のつながりが極めて強いことから、販売網を思うように広げられず、撤退を余儀なくされた。約37億ドル(約2900億円)を投じる今回の買収で、北米の拠点が900カ所以上にのぼるグッドマンの販売網を活用できる効果は大きい。