薄型テレビや液晶パネル事業の不振で、シャープが経営不振にあえいでいる。だが、金融機関がシャープ以上に経営状況を注視している大手電機メーカーがある。NECだ。半導体、パソコンなど次々と主力事業を切り離し、身軽になったはずが、成長戦略は見えないまま。縮小均衡の“連鎖”にはまった「IT業界の雄」はどこに向かうのか。
シャープより厳しい
「NECの方がもっと厳しい」。シャープの経営に関する報道が過熱していた今月中旬、ある大手行の首脳は、こう言い放った。
シャープは、平成25年3月期に2500億円の最終赤字を見込むなど、主力事業の不振で苦境が続く。このため、今期中にグループ従業員約5千人を希望退職の募集などで削減することを決めるなど、厳しいリストラを迫られている。
これに対して、NECは24年3月期まで2期連続で最終赤字を計上。だが、国内外1万人の削減に踏み切り、今期は200億円の利益を確保し、3期ぶりに黒字転換を見込んでいる。業績だけをみれば、NECは最悪期を脱したように見える。それでも、この大手行首脳が、NECがより厳しいと判断しているのは、業績の本格回復に向けて「何の出口もみえない」と映るからだ。