【ニッポン経済図鑑】ヒロカワ製靴「スコッチグレイン」 (1/3ページ)

2012.8.13 05:00

 ■「履き心地」こだわり半世紀 「メード・イン・スミダ」新たな挑戦

 硬めの皮を徐々に足になじませ、自分だけの1足をつくりあげていく。スコットランド伝統の穀物模様の革の名前を冠した靴ブランド「スコッチグレイン」は、そんな大人の靴の楽しみを教えてくれる。

 ◆手縫いの良さを機械で実現

 製造するヒロカワ製靴は創業以来、「履き心地」に半世紀近くこだわってきた。当初は百貨店やアパレルメーカーの靴を受託生産し、さまざまな製法を取り入れてきたが、オリジナルブランドのスコッチグレインでは「グッドイヤーウエルト」と呼ばれる製法だけを採用した。靴底に革を重ね、一つ一つ丁寧に縫って仕上げるこの製法は、手縫い靴の良さを機械で実現するために考案された。

 特徴は3層構造の靴底にある。足が触れる中底には「リブ」と呼ばれるテープを貼り付け、「すくい縫い」と呼ばれる技法で、甲の部品を取り付けた「アッパー」と縫い合わせる。クッション性の高いスポンジを使った「中物」などを詰めた上で、本底を「だし縫い」で縫い付ける二重の縫製を施し、耐久性の高い靴底に仕上げる。靴底を接着剤で仕上げる主流の製法より工程が多く、人手もかかる。だが、中物をたっぷり詰められるため長時間履いても疲れにくく、履くにつれて足裏になじんでいく。また、糸縫いのため通気性も高く、ソールの交換が可能で長く愛用できる。

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