海水の温度差を利用して発電するクリーンな再生可能エネルギー「海洋温度差発電」の実証事業が沖縄県を舞台に動き出す。取り組むのは、IHIプラント建設、同分野の研究開発を続けるベンチャー企業のゼネシス(東京都中央区)、横河電機だ。3社は来年3月までに実証設備を設置し、連続運転を見極める。実用化を巡る米仏との先陣争いが激しさを増す中、発電技術の進化を急ぐ考えだ。
海洋温度差発電は、海の表層部にある「温かい海水」と、水深600~1000メートル程度に存在する「冷たい深層水」の温度差を利用する発電技術だ。
表層水でアンモニアなどを加熱・蒸発させ、その蒸気で発電用タービンを回す。発電後の蒸気は深層水で冷やして液に戻し、発電に再利用する。
CO2削減に効果
化石燃料を使わないため二酸化炭素(CO2)の排出削減に貢献できるうえ、海水温は変動が少ないことから安定的な発電が可能だ。このため、昼夜にわたり電力の基礎需要をまかなう「ベース電源」として注目を集めている。
今回、沖縄県が実証事業を主導し、それを3社が受託した。沖縄本島の西に位置する久米島の「沖縄県海洋深層水研究所」に出力100キロワット級の実証プラントを設置、来年4月から2年計画で連続運転を行う。