「スバル」ブランドで展開する主力の自動車事業の輸出比率が約7割に上る富士重工業が、円高の逆風を無視したかのような強気の収益計画を打ち出している。歴史的な円高水準が続く中、5月に見直した中期経営計画は想定為替レートを当初計画に比べて対ドルで10円も円高に修正する一方、2015年度に連結営業利益1200億円とする収益目標は据え置いた。直近の12年3月期連結決算でも円高で約420億円もの営業減益影響を受けた同社が、収益目標を維持する勝算はどこにあるのか。
週7日の工場操業
「BRZをもっと回してくれ」「お客が待っているんだ。インプレッサもBRZも早くしてくれ」
中期計画の修正の公表直後に米ニューオーリンズで開かれたスバルの全米ディーラー会合。富士重工業の吉永泰之社長は、新車の供給をせき立てる販売店経営者らの激しい突き上げに窮していた。
「とにかくがんばってつくっている。それだけはわかってくれ」と頭を下げて回った吉永社長の言葉通り、車両生産拠点の群馬製作所(群馬県太田市)はフル生産続き。7月からはエンジン生産ラインで24時間、週7日稼働という異例の操業態勢をとっているほどだ。
円高で利益の下押しが避けられないはずの同社が、収益拡大に自信をみせる背景には新車販売の快進撃がある。