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ライバル2社は静観
一方、NTTドコモとソフトバンクはKDDIの動きに距離を置く。両社のスマホでも無料通話アプリは利用可能で「データ通信量の増加につながる」(ソフトバンク)と前向きにとらえながらも、一定の通話収入を確保するため定額通話を軸足に顧客の囲い込みに走る。
NTTドコモは一歩先をにらんだ戦略もとる。高速通信規格「LTE」をベースにした携帯IP電話端末を早期に導入したい考えだ。現在のIP電話よりも音声が明瞭で遅延現象を抑えられるだけでなく、映像の送受信もできるため、音声通話とデータ通信の収入を同時に確保できる可能性が高い。
もっともLINEのユーザーは「スマホ所有者の44%に達した」(NHNの森川社長)といい、無料通話アプリの勢力拡大は続く。データ通信量の急増による通信障害の再発も懸念される中、「禁断のアプリ」(KDDIの田中孝司社長)への対応次第で携帯電話各社の収益が左右される事態も否定できない。(大坪玲央)