なかなか進まなかったゼネコン(総合建設業)業界の再編機運が高まってきた。足元は東日本大震災の復興需要で一息ついているものの、復興需要後の国内市場縮小が避けられないためだ。これまで合併による相乗効果を出しにくい業界とされていたが、生き残るためには海外展開など企業規模の拡大が不可欠で、国土交通省も再編を後押しする。ただ、再編が進むにしても、中堅・中小ゼネコンにとどまるとの見方が強い。
「安藤・間」試金石に
「国内の工事量が減っていく中で海外に活路を見いだす必要があるが、全社が(海外事業を)できるわけではない。(企業規模を拡大する)再編が出てきてもおかしくない」。日本建設業連合会の野村哲也会長(清水建設会長)は6月下旬の記者会見で、業界再編の動きをこう予想した。
そのきっかけとなりそうなのが、来年4月に合併するハザマと安藤建設だ。トンネルなど土木分野に強いハザマ、マンションなど民間建築に実績を持つ安藤と、双方の事業分野があまり重複せず、補完し合える。合併後は「経営基盤を強化」(安藤の野村俊明社長)して体力を蓄えた上で、本格的な海外展開も視野に入れている。
業界として久々となる合併の背中を押したのが、建設市場の縮小だ。国交省によると、2012年度の国内建設投資額は前年度比7.9%増の45兆3000億円と、復興需要もあって2年連続で増加する見通しだ。ただ、これでもピークだった1992年度の84兆円の半分程度。