米電子機器大手アップルのタブレット型多機能端末「iPad(アイパッド)」の商標権をめぐる訴訟で、広東省高級人民法院(高裁)は2日、中国本土におけるアイパッドの商標権所有を主張していた同省深センの企業とアップルが和解したと発表した。アップルはすでに6000万ドル(約48億円)の和解金を支払ったという。
昨年来の訴訟でアップル側は、中国各地でアイパッド販売差し止め措置などをたびたび受けており、有力市場での事態打開に向け和解の道を探っていた。
アップルは中国を含む全世界のアイパッドの商標権を深センの「唯冠科技」の台湾の親会社から買い取ったと主張。一方、唯冠科技は商標売買に中国本土の権利は含まれていなかったとして法廷で対立していた。
広東省深センの中級人民法院(地裁)は昨年12月、アップルの中国本土でのアイパッド商標権を認めない判決を言い渡した。これを受けアップルは上訴したが、商標権を管轄する中国の国家工商行政管理総局は4月に、アイパッドの商標登録が「中国の商標法に基づけば今でも合法」との見解を示し、訴訟はアップル側に不利な展開となっていた。(香港 河崎真澄)