男性株主「岩手県から来ました。うちの地域もホットスポットになっていて、昨年秋には除染作業も経験した。今春には近所の店頭からワラビ、ゼンマイなどが消えた。さて、損害賠償の議案ですが、政府が実質負担しながら、窓口は東電という状態だから、中間指針以外は具体的な説明ができない情けない状態が続いている。こんなことはいつまでも許されるはずがない。このままでは政府の操り人形となり、既存株主の株価はなくなってしまう」
《男性株主の声に熱がこもる》
「では、自力再建のためにはどうすればいいか。発送電分離を自主的に実施し、発電事業者として再出発すべきだ。当社が国有化されないよう、この提案に賛同されることをお願いします」
《株主提案の説明が終わり、会場が一時静まる》
勝俣会長「各議案に対する取締役会の意見は、開催通知に記載の通りです。提案いただいた経営理念は、定款になじまないことから反対している。しかし、ご提案には総合特別事業計画で実施することになっているものもあるので、適切かつ着実に実施していく」
「それでは質疑応答に移ります。事前に123問をいただいています。最初に副社長からご回答します。きわめて技術的なものは回答を差し控えさせていただくものもあります」
鼓紀男副社長「まず、福島第1原発の作業員について、清水前社長の発言についてですが、一部退避させることについて検討する旨を伝えたまでで、全員撤退の旨は一切発言していません…」
《鼓副社長らが質問者の名前とともに回答書を読み上げ、淡々と進行するが、時折ヤジが飛び“嵐の前の静けさ”を感じさせる》