河川や農業用水路などの水の流れを生かす「小水力発電」の売り込みが活発化してきた。発電機メーカーのデンヨー(東京都中央区)とシーベルインターナショナル(同千代田区)は、環境にやさしい小水力発電装置の提案営業を加速する。7月から再生可能エネルギーによる発電の全量を電力会社が買い取るよう義務づける「固定価格買い取り制度」が始まるのに伴った動きだが、小水力は地域活性化にも役立つ点でも普及が期待されている。
場所問わず可能
小水力発電の利点は、水の流量と水が流れ落ちる際の「落差」が一定程度あれば、場所を問わず行える点。大規模なダム建設や大きな水源に頼らないため、環境負荷が小さい。
デンヨーはこうした特徴に着目し、土木・建築工事向けエンジン発電機の納入実績を土台に小水力分野に参入。徳島県での実証試験などを経て、最大出力5キロワットの発電装置「MHG-5」を7月に発売する。
小さな水源の水を上流側の「受水槽」に貯め、その水を配管で下流側の発電装置に送る。その際の落差は10~30メートル。水が流れ落ちる勢いで装置内の水車を回し、発電する。安定した電力を供給できるようインバーター(電力変換装置)を組み合わせた。価格は、電力会社の系統に接続し、発電した電力を売れるタイプの場合で600万円。固定買い取り制度を活用して売電したい事業者や地方自治体などに売り込み、事業初年度で50台の販売を目指す。
一方、低落差でも発電できる装置「ストリーム」で攻勢をかけるのが、小水力専業のシーベルインターナショナルだ。
水路に3メートル未満の落差があれば、流水の勢いで2つの水車を効率よく回し発電でき、雑草などの浮遊物にも影響されない。装置の発電出力は設置条件に応じ、1~40キロワットの範囲内で決める。すでに農業用水路などの用途で14件の設置実績を積んだという。