ブリヂストン、「BRICs最後の有望市場」ロシアに“鉱脈” (1/3ページ)

2012.6.18 05:00

 世界最大手のタイヤメーカー、ブリヂストンが、日系メーカーにとって唯一の「空白地帯」と呼ばれるロシア市場開拓の検討に乗り出した。今月、ロシアの乗用車用タイヤ工場から出荷を開始したばかりの横浜ゴムの追撃を目指す。ロシアでは、独特の法規制や労働習慣の違いが鮮明で、市場開拓に苦戦するのは必至だが、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)などの新興国の中で手つかずの地は残り少なくなっており、新興国に攻勢をかける自動車メーカーと足並みをそろえ、「地産地消」戦略を加速させる狙いだ。

 世界一への試金石

 「ロシアという大市場でわれわれがプレゼンスなしでいくことは考えられない。いずれ必ず進出する」。ブリヂストンの津谷正明最高経営責任者(CEO)はこう明言する。

 同社が昨年10月に発表した中期経営計画では、利幅の大きい特殊用タイヤ事業の強化とともに、新興国での現地生産を進める戦略を打ち出した。2016年に営業利益率10%に高める目標達成には新興国の成否が鍵を握るからだ。

 今や世界最大の自動車市場に成長した中国市場では、無錫、天津両工場での生産を増強するなど、事業の拡大を加速。さらに、同じく自動車産業が急速に発達しているインド市場では、インドール工場に加え、プネ工場が13年稼働予定で、乗用車用とトラック・バス用のタイヤを生産する予定だ。