2012.5.29 05:00
国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」が、産みの苦しみを味わっている。機体開発の遅れや部品検査工程の不備が響き、納入時期の2度目となる大幅な延期に追い込まれたからだ。海外のライバルとの実績の差はさらに広がり、これ以上の遅延は許されない。世界屈指の低燃費を売り物に市場の席巻を目指す「日の丸ジェット」が、最大の試練に直面している。
購入は実物見てから
「大型案件なので、さすがに立ち上げに苦労している」。三菱重工業の大宮英明社長は4月27日の会見で、こう説明した。
三菱重工傘下でMRJを開発している三菱航空機(名古屋市港区)は4月25日、14年1~3月としていた初納入の時期を、15年度半ばから後半に延期すると発表。「製造工程の見直しや開発段階でのさまざまな技術検討に多大な時間を要している」(同社)ためといい、今年6月に予定していた試験機の初飛行も13年10~12月に延ばした。
一般的に部品点数が自動車の100倍と多く、高い安全性が求められる航空機では開発の遅れは珍しくはない。米ボーイングの中型機「787」は設計変更などで予定より3年以上も遅れ、仏エアバスの「350XWB」も開発がずれ込んでいる。