ゲーム各社の海外展開が加速している。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)はゲームの翻訳や修正を行う専門組織を台湾で立ち上げ、グリーは「プラットホーム」と呼ぶ基本システムを世界で統一した。ゲームを世界中で同時に販売できる体制を整え、需要の掘り起こしを図るのが狙いだ。
SCEは24日、台湾向けにゲームソフトの中国語への翻訳を行う「中国語ローカライズセンター」(台北市)が本格的に稼働を始めたと発表した。同センターは2011年7月から試験運用を始めており、言語の翻訳やプログラムの不具合の修正作業を担当。現在は10~15人態勢の人員を今後増やし、他のソフトメーカーの翻訳作業も補助する。SCEは作業のスピードを速めることで、日米欧の「ゲーム先進国」との製品展開の時間差を縮め、収益増につなげる。
SCEは中国本土でも同様の組織の立ち上げを検討しており、まずはアジアの最優先市場と位置づける台湾で、中国攻略の第一歩を踏み出す。
一方、グリーも同日、昨年4月に買収した米ソーシャルゲーム大手のオープンフェイントと基本システムを共通化したと発表した。最大153カ国でのゲーム配信が可能になる。利用できる言語は現在、日本語と英語の2つに限られているが、9月までに中国語やフランス語なども含む14カ国語に対応する。
今回の基本システム統合によって、約2億3000万人の会員がネットを通じ、同じゲームで遊べることができるようになる。ソーシャルゲームは友人同士のつながりが新たな会員を呼び込むため、会員数の規模が海外展開の鍵とされており、今後も新たな収益源を海外に求める各社の動きが活発化しそうだ。(高木克聡)