東日本大震災後の外国人旅行者の“日本離れ”が解消し、小売りや観光で、中国人客らの旺盛な購買意欲への期待が高まってきた。日本政府観光局が24日発表した4月の訪日外国人旅行者数は、前年同月比2.6倍の78万800人(推計値)と、震災前の2010年4月(78万8212人)の水準をほぼ回復。戻ってきた「上客」の需要取り込みに向け営業時間を早める家電量販店や、外国人対応の態勢をテコ入れする旅行会社が出てくるなど、サービス競争の動きが広がってきた。
日本旅行は7月中旬から、訪日外国人に人気の高い北海道で定期観光バスの運行を始める。英語、韓国語、中国語の音声ガイド機をバスに搭載し、「東アジアを中心とした富裕層を集客したい」(同社)と期待する。
北海道のリゾートホテルなどを運営する「ザ・ウィンザー・ホテルズ インターナショナル」(東京都港区)では6月、中国、韓国、ウズベキスタン出身の新卒者4人が入社する。同社は「語学力を生かし、外国人の富裕層向けのサービスを充実させたい」と意気込んでいる。
外国人旅行者数の回復ぶりはすでに小売市場にも波及している。国土交通省によると、訪日外国人の今年1~3月の旅行消費総額は、11年10~12月期比で16.8%増の約2242億円。全国百貨店の4月の外国人観光客の売上高は前年同月の4倍、客数も同6.4倍と伸びており、10年4月実績との比較でも4.1%増と好調だ。