中国の高級車競争激化 フォルクスワーゲン店舗倍増、日本企業も新車攻勢

2012.5.18 05:00

中国の高級車競争激化フォルクスワーゲン店舗倍増、日本企業も新車攻勢

中国の高級車競争激化フォルクスワーゲン店舗倍増、日本企業も新車攻勢【拡大】

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 中国で日独メーカーによる高級車競争が激化しそうだ。フォルクスワーゲン(VW)が、最高級セダン「フェートン」の現地の専用販売店を年内に倍増させる。日本勢もトヨタ自動車が「レクサス」で新車攻勢をかけ、日産自動車も「インフィニティ」の現地生産に乗り出す。富裕層の拡大によって高級車市場が右肩上がりで伸びていることに対応する。ただ、VWなど現地で高いシェアを持つドイツ勢に対抗するには、販売店網の拡充などが必要となりそうだ。

 VWのフェートンは、2002年に発売した同社の最高級セダン。全量をドイツの専用工場で製造し、欧州や中東、東南アジアの一部地域などで販売している。中国には10年に投入したが、価格は70万~240万元(約890万~3050万円)と高価にもかかわらず、昨年のVWの総生産台数約1万1100台のうち、中国での販売が6600台と半分以上を占めた。VWは現在、中国に販売店80店と、北京や広州などフェートンの専用店舗9カ所を持つが、年内に専用店舗を18店に倍増させる。

 これに対抗する日本勢は、トヨタがレクサスブランドの新型高級セダン「ES」を年内に投入するほか、専用販売店を現行の86店から順次拡大する。07年から中国でインフィニティを販売している日産も、香港に高級車販売拠点を設けたほか、14年にも現地生産する計画だ。国内メーカーが高級車を中国で生産するのは初めて。

 昨年の中国の新車販売台数は前年比2.5%増の1850万台と前年の32%増から伸び率を大きく落とした。ただ、高級車市場は好調で、英調査会社LMCオートモーティブによると、昨年は約40%増の95万9980台と高い伸びを示した。

 中国の高級車市場はVWやメルセデス・ベンツ、BMWのドイツ勢が強い。日本勢がブランド力を向上させるには、販売店網の拡充に加え、現地ニーズに合った車種開発が求められる。(阿部賢一郎)