健康的な眠りを支えるベッドはいま、インテリア性など日常を豊かにするための付加価値が求められている。道具としての品質はもちろん、デザインや利便性なども不可欠な要素だ。フランスベッドは、人気の看板商品をあえてゼロから見直す大胆な商品開発に挑戦し、高級ベッドの新しいスタンダード(標準)を生み出した。
「どんな商品にするのがいいのか…」。2010年秋、都内で開かれた普及タイプベッドの販売店向け商品発表会。フランスベッド商品企画部の永井英之さんは、小売り業者からの質問を受けながら、次に予定していた電動リクライニングベッドの最高級ブランド開発に思いをはせていた。
当時、同社のフラッグシップだった、04年から販売の「エゼックス」シリーズは、リクライニング機能に優れ、インテリア性も高く人気だった。しかし、高級ベッドに対する消費者の要望は年々高まっており、フラッグシップ商品の刷新は数年来、“宿題”となっていた。
発表会が終わってまもなく開発に取りかかった永井さんは、まず消費者の意見を聞く機会の多い営業担当者に向け、エゼックスシリーズについてのアンケートを実施した。その結果、担当者がそろって口にしたのは、最高級シリーズであるはずのエゼックスシリーズが、「選びにくい商品」でもあるという皮肉な現実だった。