電機大手8社の2012年3月期連結決算が11日、出そろった。主力のテレビ事業の不振でパナソニックとソニー、シャープの家電3社は過去最大の最終赤字を記録。赤字額は計1兆6000億円と空前の規模に膨らんだ。一方でテレビなど不採算事業の整理をいち早く進めた日立製作所と東芝、三菱電機の総合電機3社は東日本大震災や円高という逆風下でも最終黒字を確保した。「重電組」と「家電組」の明暗を分けたのは、中核事業と非中核事業を明確に区別する「選択と集中」のスピード感の違いだった。
「自前主義」裏目に
パナソニックなど3社の業績不振の主な原因は、テレビ事業への過剰投資だ。数年前からサムスン電子など韓国勢の台頭でテレビ事業が曲がり角を迎えていたにもかかわらず、自前でのパネル生産にこだわり、数千億円規模の巨額投資を続けた。
日本が世界に誇る中核商品だったテレビは、今や過当競争による価格破壊によって「売れば売るほど赤字が膨らむ」(大手幹部)状態。かつて日本の電機メーカーの“勝利の方程式”だった「自前主義」や「大量生産」が結果的には傷口を広げた格好だ。
各社はようやく前期に入って方向転換を急ぎ始めた。ソニーは「数を追わずに収益を重視する」(加藤優最高財務責任者)という合理化に着手し、サムスンとの液晶合弁を解消に踏み切った。パナソニックも最新鋭のプラズマテレビ用パネル工場の一部生産を停止。シャープも提携先の家電受託生産世界最大手、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との共同生産に活路を見いだす。