東電、最後の抵抗も実らず 支援機構との攻防に決着 (1/2ページ)

2012.5.9 21:36

 1兆円の公的資金による資本注入を盛り込んだ東京電力の総合特別事業計画が9日、政府の認定を受け、東電の一時国有化が決まった。民間企業であることにこだわり、国有化に強い難色を示してきた東電だが、原子力損害賠償支援機構との半年以上に及ぶ攻防でも事態を打開できなかった。新生東電の“顔”となるトップ人事も支援機構に押し切られ、公的管理下での再建を余儀なくされた。

 認定を受けた総合事業計画によると、政府は当初、過半数の議決権を握り、経営改革が遅れるようなことがあれば、「3分の2以上」に引き上げる。

 だが、東電は経営の自由度を失うとしてかたくなに公的資金の受け入れを拒んだ。そのための“秘策”が経済産業相の認可が要らない企業向けの電気料金値上げだった。

 4月から企業向け料金を平均17%値上げすれば、年間4千億円の収支改善を見込める。家庭向け料金も10%程度値上げできれば、燃料費の増加分は補える。さらに平成25年度中に柏崎刈羽原発(新潟県)を再稼働できれば「公的資金は最小限にとどめられる。場合によっては受け入れなくても済む」(東電幹部)と踏んだのだ。

 しかし、東電にとって大きな誤算が生じる。料金制度の見直しを進めていた経産省の有識者会議での議論が1月に入り、料金の原価算定期間を現行の1年から3年に拡大する方向となったのだ。1年であれば「原発ゼロ」を前提に燃料費増大をそのまま原価に算入できたが、原価算定が3年となれば、柏崎刈羽原発の再稼働を織り込まなければならず、値上げによる増収効果も圧縮される。