スマートフォン(高機能携帯電話)の端末価格が、連休商戦を機に「実質0円」時代に突入した。他社からの乗り換えを狙った割引サービスだけでなく、新規契約でも0円が珍しくなくなった。スマホへの移行が急速に進む中、少しでも多くの利用者を囲い込みたい携帯電話各社が“出血大サービス”を展開している格好だが、各社の販促費の負担増が利用料金に跳ね返ってくる懸念も強まっている。
転出超過続いて焦り
「実質0円の端末があってもいい」。NTTドコモの山田隆持社長は4月27日の決算発表会で、スマホ端末の価格競争に意欲をみせた。
現在、ドコモのスマホの端末価格は実質2万~2万5000円。しかし他社に比べて割高なため、1万~1万5000円に引き下げ、「競合他社と同等の販売価格で対抗」(山田社長)する。その中で実質0円の端末も積極的に投入するという。
端末代金は最初に一括で払うか、分割して毎月の利用料と合わせて払う。ドコモには「月々サポート」という機種に応じた月額利用料の割引プランがあり、この割引幅を拡大して対応する。
背景には「番号持ち運び制度(MNP)」で転出超過が続いている焦りがある。転出した利用者の8割が「他社の端末の安さ」を理由に挙げたといい、実質価格の引き下げで競争力強化を図る。
スマホ端末の価格競争は、2009年にソフトバンクモバイルが、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を実質0円で販売したことで火が付いた。ソフトバンクの契約拡大を受け、ドコモとKDDI(au)も相次いで値引きに乗り出し、KDDIも実質0円の端末を用意した。