値下げ前の国内販売台数は約130万台に対し、値下げ後は400万台以上を販売。単純計算で国内だけで160~200億円の赤字が生じたことになる。
任天堂は、今年度上期にも「逆ざやは解消する」と説明しつつも「ハード(3DS本体)で大きな利益を計上するのは難しい。ソフトで稼いでいかないといけない」(岩田社長)。
しかし、任天堂のソフト部門を牽引するのは昭和58年のファミリーコンピュータ登場以来、「スーパーマリオ」シリーズなど、以前からのヒット作が多い。「一度ヒットしたシリーズがその後もヒットを続けるというのは奇跡のように難しい」(岩田社長)と強調するが、ある関係者は「常に驚きがあるゲームでリードしてきた任天堂だが、旧態依然の感が否めなくなっている」と苦言を呈す。
全世界での販売台数が1700万台(3月末時点)に到達した3DS。想定外の1年を乗り越え、ようやく安定軌道に乗ったものの、任天堂の経営戦略は依然として視界不良が続いている。
平成24年3月期で営業、最終損益とも初の赤字に転落した任天堂。業界をリードしてきたゲーム王国に何が起きているのかを検証する。