国際会議出席のため来日している英国原子力公社(UKAEA)のバーバラ・ジャッジ名誉会長が20日、産経新聞のインタビューに応じ、原油などの資源が極めて乏しい日本のエネルギー事情を踏まえ、「エネルギー安全保障上、原子力発電は必要だ」との考えを示した。
ジャッジ氏は、東京電力福島第1原発事故後に「脱原発」に大きくかじを切ったドイツの例を挙げ、「ロシアからの燃料輸入やフランスからの電力購入で他国への(エネルギー)依存度が強まっている」と指摘。「日本は他国に命運を委ねるような道を歩むべきではない」と提言した。
さらに「エネルギー安全保障と電力の安定供給、地球温暖化ガス削減などの課題を解決できる電源は原発しかない」と指摘。日本の原子力発電所の建設技術については、東日本大震災によっても「建屋そのものは残り、プラントの頑健性が証明された」と評価した。
ジャッジ氏との主なやりとりは次の通り。
--福島第1原発事故をどう感じるか
「悲しい出来事で被災者に大変同情している。ただ、あれだけの地震・津波でも建屋そのものは残った。英国では事故後、原発反対派でさえ、日本の技術力やプラントの頑健性を高く評価するようになった。ベトナムなど新興国も引き続き日本の原発を欲しがっている。これが国際的、客観的な評価だろう」