ソニー「電機」回帰鮮明に 構造改革策 テレビ固定費6割削減 (1/2ページ)

2012.4.13 05:00

経営方針を発表した平井一夫社長(右から4人目)らソニーの経営陣=12日、東京都港区

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 ソニーの平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)は12日、経営の立て直しに向けた構造改革策を発表し、2012年度中に国内外で約1万人の人員を削減する方針を表明した。不振にあえぐテレビ事業を13年度に黒字化するため、大幅なコスト削減を進める。本業のエレクトロニクス(電機)への回帰を強く打ち出したものの、「ソニー復活」への道筋はまだおぼろげだ。

 「必ずやソニーを変革し、再生させる。変わるのは今しかない」。東京都内の本社で開いた記者会見の冒頭、1日就任した平井社長は力いっぱい握りしめた拳を何度も振りかざした。

 ソニーは12年3月期に過去最悪の5200億円の最終赤字になると発表したばかり。最大の「戦犯」は8期連続の赤字が続くテレビ事業だ。このため、構造改革策では「テレビ事業の再建」を柱の一つに据えた。

 具体的には、液晶パネル調達費や人件費などの固定費を13年度までに60%削減し、流通や在庫管理などの費用も30%カットする。テレビの機種数を40%減らし、人員削減でもコスト減につなげる。

 平井社長は「他社との提携は、さまざまな可能性を検討している」とした。

 さらに有機EL(エレクトロルミネッセンス)テレビと、超小型の発光ダイオード(LED)を使った「クリスタルLED」テレビの商品化も表明。新興国の需要を取り込み、世界で2000万台超の販売を目指す。

 もっとも、中核事業に位置づけたのはデジタルカメラなど「デジタルイメージング」、スマートフォン(高機能携帯電話)など「モバイル」、そして自ら手がけてきた「ゲーム」の3事業。独自技術や自社のコンテンツとの融合などを成長エンジンに掲げたが、米アップルや韓国のサムスンなどライバルがひしめく中、3事業が屋台骨を支えられるかは不透明だ。