東京電力が保有不動産、施設約800カ所の売却に向けて調整に入ったことが9日、分かった。4月以降、複数の大手信託銀行に平成24~25年度の売却対象を示し、売却先選定を進めており、売却額は最大1千億円程度になる見通し。
売却対象は首都圏の社員寮や社宅、保養施設、遊休地など。売却を加速するため、信託銀行だけでなく、証券会社とも協議を始めている。
東電は23年度からの3年間で2472億円の不動産売却を計画しているが、政府の原子力損害賠償支援機構は売却の前倒しを求めている。東電としても早期売却で手元資金を厚くし、福島第1原発事故の賠償原資を確保する狙いがある。
東電は福島原発の事故後、23年12月までに約100カ所の不動産を153億円で売却している。