電機、新興国軸に自動化事業を強化 印などで買収・増産 (1/2ページ)

2012.4.4 05:00

 電機大手が、工場などの製造現場で使う自動化(FA=ファクトリー・オートメーション)事業を相次いで拡大する。パナソニックが中国や東南アジア市場の開拓強化に乗り出したほか、三菱電機もインド企業を買収し、成長市場に橋頭堡(きょうとうほ)を築いた。薄型テレビなど家電事業が苦戦する一方、人件費の上昇が続く新興国を軸に底堅い需要が見込まれるFA機器事業の強化が収益基盤の安定化に欠かせないと判断しているためだ。

 パナソニックは、国内と海外を合わせたFA事業の売上高を2015年度には、11年度見込み比12%増の2000億円以上に増やし、海外販売比率も70%超に引き上げる計画を打ち出した。

 電子部品をプリント基板に装着するために使う実装機で高いシェアを持つ同社は、需要が急拡大しているスマートフォン(高機能携帯電話)の部品工場向けの販売を伸ばすため、中国・江蘇省の工場の生産能力を12年度には2倍に増やす。また、自動車や船舶の製造に使う溶接機では今年12月にインドで生産を開始するほか、中国河北省の工場の生産能力を12年度に1.4倍に引き上げるなど製造・販売両面を強化する。

 三菱電機は今年1月に買収したインドのFA機器メーカーをてこに、シーケンサーと呼ぶ機械の制御装置などを現地生産し、事業拡大を狙う。同国では自動車を中心に年率10%超の需要増が見込まれており、自動車大手のタタ自動車やマヒンドラ・マヒンドラなど現地企業向けの営業を強化する狙いという。13年には電力変換装置であるインバーターを現地で年15万台生産することも検討し、15年度をめどにインドでのFA機器事業の売上高を11年度比3倍の150億円に引き上げる計画だ。