スマートフォンの急増によって、ネットワーク通信が増え、携帯電話各社ともに通常のネットワークだけでは、そのニーズを満たすのが難しくなりつつある。(夕刊フジ)
電波は強力につかまえているのに、通信しようとすると、遅くて使いものにならないといった経験はないだろうか。それは、近隣の基地局に多くのユーザーが殺到していて、パンク寸前になっているということだ。特にターミナル駅周辺や繁華街の中で、こういうことが起こりやすい。
こうした不便を解消するために、各社が力を入れているのが無線LANサービスへの“回避策”だ。いわゆるWi-Fiのアクセスポイントを各所に設置し、そこにつないでもらうことで、本来の携帯回線を使わないで通信ができるようにする。
ドコモの場合、専用のユーティリティーアプリが用意されていて、あらかじめ「dメニュー」で取得しておいた公衆無線LAN用の接続IDとパスワードを登録しておくことで、アクセスポイント付近に近づいて電波を捕まえれば、自動的に接続する。
スマートフォンで3G回線とWi-Fiの両方がつながっている場合は、データ通信にWi-Fiを使うので、結果として3G回線の混雑緩和に貢献でき、自分自身も比較的高速なデータ通信ができるわけだ。
そうはいっても、接続やその設定はわずらわしく、初心者がやるのはちょっと大変だ。こういうことは、街中のショップなどを利用してお願いしてしまうのが賢いかもしれない。
ちなみに、この設定を世界レベルで自動化し、課金などを含めた仕組みとして標準規格を策定する動きもある。世界の主要携帯電話事業者の団体であるGSMAと業界団体のWireless Broadband Allianceが、規格策定について基本合意に至ったことが3月中旬に発表されている。
商用化までには、まだ少し時間がかかりそうだが、より便利な通信環境が得られるようになるのはうれしい。でも、それって携帯電話なのか? という点では疑問も残る。(山田祥平)