ネットからメジャー化、コンテンツ作る新潮流
通信カラオケのエクシングは、ミクの楽曲を07年以来、約1800曲配信し、若者を中心に利用を伸ばす。セガは、09年からミクが登場するゲームソフトを毎年発売、4タイトルの累計出荷数は100万本を超え、グッズ販売も好調に推移する。
米国ではトヨタ・カローラのCMキャラクターに昨年5月起用され、日本では昨年末にグーグルのCMが話題を呼んだ。
そのグーグルのCM曲「Tell Your World EP」は同人サークル制作の楽曲ながら、今月14日発売されたCDが初週に約3万3000枚のセールスを記録。オリコンのアルバムランキング(12~18日)で4位にランクインした。
「ミク関連の消費額は、すでに100億円を超えた」と、野村総合研究所の伊部和晃コンサルタントは試算する。
その額はまだ、1996年から累計2億本以上を売り上げているゲームソフト「ポケットモンスター」シリーズ関連の3兆円以上とされる経済効果には遠く及ばない。
しかし、「ミク」は、これまでなかったコンテンツの新しい形成法を定着させつつある。それは、ネット上での消費者同士の交流から生まれて次第にメジャー化するという新潮流だ。
伊部コンサルタントは「スポーツと同様に、アマチュアの裾野が広がればトップの質も高まる。ミクのムーブメントは、日本発のコンテンツビジネスをさらに成長させる可能性がある」と指摘する。(山沢義徳)