川崎重工業「セメント・ごみ処理一体運営システム」 (1/2ページ)

2012.3.26 05:00

 ■熱と焼却灰利用 CO2排出削減

 川崎重工業が開発したセメント工場とごみ処理施設を一体運営できるシステムが世界から注目を集めている。ごみを燃やした際の熱はセメント製造に応用するほか、ごみの灰はセメントの原料に利用できるため、新興国を中心に浮上しているごみ処理問題を解決する“キーツール”としての期待が高まってきているからだ。川重は中国を中心に売り込みを強化し、2020年度に同システムを含めたプラント・環境事業の売上高を10年度比1.6倍の2500億円規模に引き上げる方針だ。

 ◆建設コスト10分の1に

 川重が、中国セメント最大手の安徽海螺集団と共同で開発したのは「CKK」と呼ばれるごみ処理施設を併設したシステム。

 一般ごみをガス炉でガス化させ、発生したガスと灰をセメント工場に供給し、セメント製造時の燃料と原料に利用する仕組みだ。

 ごみを埋め立てた場合に出るメタンガスを抑えられるうえ、ごみの持つエネルギーを使うことでセメント製造時の燃料使用量を減らせる。ごみ処理施設を一般的なセメント工場に併設させた場合、年間では12万トン規模の二酸化炭素(CO2)削減効果につながると川重では試算している。

 コスト競争力も高めた。既存のセメント工場に併設可能なため、焼却炉はセメント工場内の既存設備を利用できる。このため、単独でごみ焼却設備を新設する場合に比べ建設コストを最大10分の1以下に低減可能という。

 同社がこうしたシステムの開発に着想を得たのは、中国では一般ごみの90%が埋め立てられているという実情を目の当たりにしたため。ごみの埋め立てによる臭気や地下水汚染などを考慮し、対策技術のニーズが見込めると判断した。