NTTドコモは韓国通信大手KTと連携し、ドコモの利用者向けに、携帯電話で支払いなどができる非接触型ICチップ「フェリカ」のサービスを今夏にも韓国で使えるようにする。海外での利便性を向上させるのが狙い。一方でドコモは世界的に導入が進んでいる国際標準の「NFC」の「タイプA/B」規格の導入を進めており、2つの規格に対応できる両にらみの事業戦略をとる。
フェリカは、日本ではJR東日本の「Suica(スイカ)」などで採用されている主流の技術。ドコモは日本と同様に韓国の商業施設やホテルなどで、広告などに携帯電話をかざすとクーポンが取得できるサービスを始める予定だ。
現在、韓国の加盟店を開拓している。ただフェリカは国内では広く普及しているが、国際標準規格ではないのが弱点だ。
このため、ドコモはフェリカだけでなく、世界的に導入が進んでいる「タイプA/B」も同時展開する構え。将来的には、両方に対応するサービスを実施する考えだ。
すでに、ドコモはKDDI、ソフトバンクとともに、「タイプA/B」を中心にNFCの国内での普及を目指す業界団体「モバイル非接触ICサービス普及協議会」を昨年12月に設置している。共通仕様策定や運用の統一で協力し、同じサービス環境で普及促進を目指しているためだ。
「タイプA/B」対応のサービスをめぐっては、KDDIがすでに東京・銀座の観光案内サービスなどに活用し、ソフトバンクは今冬にはサービスを開始したい考えだ。家電量販店でのポイントサービスの活用なども検討課題にあがっているという。