野田佳彦首相は12日、来日中のモンゴルのバトボルド首相と会談し、両国間の経済連携協定(EPA)締結に向けた交渉入りで合意した。両首脳はモンゴルのインフラ整備や安全保障分野、人的交流での関係強化で一致。バトボルド首相は、石炭埋蔵量が世界一とされるモンゴルのタバン・トルゴイ鉱山開発に日本企業を参入させると初めて確約した。
両政府は首脳会談に併せ、総額約27億円に上る円借款と無償資金協力に関する文書を取り交わした。このうち国際協力機構(JICA)が、貧困層の社会福祉支援を目的とする「社会セクター支援プログラム」として15億5000万円の円借款を実施する。
一方、民間にも日・モンゴル間の協力強化の動きが拡大。モンゴルの投資会社のニューコムとソフトバンクは同日、バトボルド首相の立ち会いの下、ゴビ砂漠での風力・太陽光発電開発に向けた合意文書に調印。三井物産は、モンゴルの国有資源開発会社エルデネス・タバントルゴイと石炭の購入契約を締結したことを明らかにした。
ソフトバンクとニューコムは、砂漠の風況や太陽光の発電能力などに関する調査会社「クリーン・エナジー・アジア」を来月、モンゴルに立ち上げる。出資額や出資比率など「詳細は未定」(ソフトバンクの孫正義社長)だが、折半出資を想定しているおり、提携企業を募っていく方針だ。
ゴビ砂漠での開発予定地は24万ヘクタールで山手線内の40倍、東京都を上回る広さとなる。