3メガ銀、国債急落“Xデー”に警戒感 「しっかりしてくれ」政府にため息 (2/3ページ)

2012.3.9 05:00

 もっとも、政府の債務残高は国内総生産(GDP)比で約2.3倍にのぼりながら、国債の10年物利回りは8日現在、0.985%と1%を割り込む水準が続いている。現状では「大きなリスクを感じていない」(大手行)との楽観論が支配的だ。

 支える土壌崩れる

 日本国債の利回りは、なぜ低いのか。国債の9割を国内の投資家が保有し、約1500兆円の個人資産を持つ国民が「預貯金や保険などを通じて買い支える」(エコノミスト)という構図が安定的に保たれているからだ。投機筋による売り浴びせで市場が混乱する事態は起きにくい。

 しかし、日本国債を支える条件にもほころびが見え始めている。日本の貿易収支は昨年、30年ぶりに赤字に転落。1月の経常赤字は過去最大の4373億円に膨らんだ。国民の貯蓄率も低下し始めており、国債に向かう資金が先細りする可能性を否定しきれなくなってきた。

 国際通貨基金(IMF)も腰を上げた。長期金利が約2.5%上昇した場合に日本の銀行が被る損害額などの報告を要請。「突然のことで驚いた。報告項目が追加される可能性もある」とメガバンク幹部は戸惑う。2月中旬の衆院予算委員会で日銀の白川方明(まさあき)総裁は、1%の上昇で国内銀行に6兆3000億円の評価損が生じると明らかにした。

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