大日本印刷 来年1月から順次生産 栃木に機能性素材の工場建設

2012.3.8 05:00

 大日本印刷は7日、医薬品原料などの機能性素材を生産する新工場を、栃木県栃木市の宇都宮工場内に建設すると発表した。投資額は47億円で、2013年1月から順次生産を始める。福島県相馬市の工場が福島第1原発事故の影響で警戒区域に含まれ、操業再開のメドがたたないことから新工場建設に踏み切る。新工場は鉄骨4階建てで延べ床面積は約8000平方メートル。今年4月に着工する。主に電子部品の製造時に使用する感光剤(レジスト)や後発医薬品(ジェネリック)の原料を生産する。

 雇用について同社は「現在は他工場に分散している相馬工場の従業員と話し合いを進めている」と説明。相馬工場については「閉鎖を含めまだ何も決定していない」としている。

 今回の建設などにより、11年3月期で約18億円だった機能性素材の売上高を、15年度には40億円に引き上げる。拡大するジェネリック向けの需要を取り込むほか、レジストは自社製品の半導体用原板(フォトマスク)やプリント基板向けの内製化を進め、グループ内のシナジー効果を追求する。

 印刷大手では、凸版印刷も包装材の新工場を群馬県明和町に建設する。総投資額は100億円以上にのぼる見通しで、今年10月に着工し、14年3月に完成させる計画。主に医薬品やレトルト食品に使い、酸素や水蒸気の侵入を防ぐ気密性が高いフィルム包装材を生産する。

 群馬県内では群馬工場(大泉町)でも包装材を生産しているが、新工場は十数キロ離れた場所に建設し、群馬地区における包装材生産を分散する。東日本大震災でサプライチェーン(部品供給網)が寸断され、食品の供給に支障が出たことをふまえ、部材の安定供給体制を強化する。