【スポーツ経営放談】まるでギリシャ!危機感足りぬJリーグ (2/3ページ)

2012.2.8 05:00

 財務基準の内容は厳しい。12年度から3期連続で最終損失を計上したり、14年度以降の決算で債務超過に陥った場合、プロのクラブとしての「ライセンス」が剥奪される。収益力の低いクラブはギリシャ同様、収支改善が待ったなしになった。

 サッカーの世界は、FIFAを頂点に大陸ごとの連盟と国・地域の協会がピラミッド状に組織を形成し、その下に各国のプロリーグが存在する構造になっている。すなわち、サッカー界はプロリーグの上にアマチュア組織が位置し、アマチュア組織が定めたルールをプロリーグが守る義務を有しているのだ。だから、上部組織はJリーグに属する各クラブの台所事情などお構いなしにルール適用を迫ることになる。

 基準の順守は容易ではないが、Jリーグのクラブがパニックに陥ったといった話は聞かない。Jリーグ公表の10年度クラブ個別情報によれば、J1とJ2のクラブのうち18のクラブが最終損失、そして10のクラブが債務超過なのに不思議なことだ。別の見方をすると、個別努力では収支構造の改善は無理とあきらめているのだろうか。

 経営努力怠ったつけ

 Jリーグの場合、リーグが各クラブに代って得る全国市場からの収入がクラブ収入全体の10%にとどまる状態が5年以上も続いている。このことは、収支を整えるためにクラブは地元の市場で90%を稼がねばならないことを意味する。