ハード不振、ネット配信も不透明 苦境にあえぐ任天堂に復活の道は? (1/2ページ)

2012.2.7 05:00

 ゲーム業界の“雄”任天堂が苦境にあえいでいる。屋台骨となる携帯型や据え置き型ゲーム機の販売不振のため、2012年3月期の連結営業損益が1981年に連結業績を発表してから初めて赤字となる見通し。巻き返し策としてゲームソフトなどのネット配信も検討しているが、その方向性は不透明だ。任天堂復活への道はあるのか。

 「売っても赤字」

 「将来的には、ネット配信を大きな柱にしたい」。12年3月期に巨額の赤字を計上する見通しを発表した翌日の1月27日、任天堂の岩田聡社長は東京で開いたアナリスト向け説明会で、配信事業に意欲を示した。

 同社は昨年12月までに自社の通信基盤「ニンテンドーネットワーク」を整備、一部のソフトのダウンロード販売を始めたが、この基盤を使い新たな収益源としたい考え。

 任天堂の今期業績は、営業損益が450億円の赤字、最終損益も650億円の赤字の見通し。売上高も7900億円から6600億円に下方修正した。ゲーム機の新機種発売によって売上高が大きく動くとはいえ、09年3月期の1兆8386億円からみれば3分の1程度の規模だ。

 昨年2月に発売した携帯型ゲーム機「3DS」の販売不振に加え、据え置き型ゲーム機「Wii」の販売鈍化が主因。特に3次元画面対応の新機種として期待された「3DS」が、人気ソフトの不足で発売当初の人気が失速。テコ入れのため昨年8月には価格を1万円引き下げ、「売っても赤字」(岩田社長)という1万5000円での販売に踏み切った。11月以降は3DS向け人気ソフトを相次いで投入、国内の年末商戦では圧倒的な強さをみせた。だが、その勢いは同社の売り上げの8割を占める欧米市場には及ばなかった。