シャープは1日、2012年3月期の連結業績予想を下方修正した。昨年10月に60億円の黒字を予想していた最終損益は、2900億円の大幅赤字に転落する。液晶テレビの販売減やパネルの採算悪化が理由。最終赤字は過去最大で、1258億円を計上したリーマン・ショック直後の09年3月期以来3期ぶり。
売上高は2兆8000億円から2兆5500億円に、本業のもうけを示す営業損益は850億円の黒字からゼロに修正した。中国メーカーの台頭が著しい太陽電池の価格下落も業績を押し下げる。最終赤字は「繰り延べ税金資産」を取り崩すことも響く。
パネルはテレビ需要が低迷し、韓国メーカーなどとの競争にさらされ、外販比率が3割から1割に低下。同社は在庫圧縮を目指し、主力生産拠点の堺工場(堺市堺区)で今月から約5割の減産に踏み切った。当面3月までの予定だが、需要次第で長期化する可能性もある。
「利益を落とした最大のポイントは想定以上の市場の悪化だ」
同日午後、都内で開いた記者会見でシャープの片山幹雄社長は表情をゆがめた。かつては業界随一の高収益を誇りながらも、“液晶一本足打法”と揶揄(やゆ)されてきた事業構造の弱点が露呈した形だ。
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