証券業界で圧倒的な存在感を示してきた“ガリバー”野村ホールディングスが苦悩している。リーマン・ショック、欧州債務危機と続く株式市場の低迷に加え、破綻した米リーマン・ブラザーズから買収した欧州・中東部門が足を引っ張り、業績が悪化。株価も今年の高値の半値以下の低空飛行が続く。市場では、野村総合研究所など親密企業の株売却によるリストラに加え、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)との再編観測まで取り沙汰されている。
異例のリポート
「野村・MUFG統合の可能性について」
米国系のシティグループ証券が先月発表したショッキングな見出しが躍るリポートに、市場関係者は驚かされた。
再編観測は今年夏ごろから市場で流れ、経済雑誌などでも報じられた。ただ噂の域を出ない観測をライバルの証券会社が、投資家向けのリポートで堂々と取り上げるのは、「極めて異例」(準大手証券)だ。
リポートは、「資本面、事業面、資金繰り面の各側面から野村が独立路線を放棄するとは考えにくい」としながらも、「収益構造が、われわれの予見を超えて悪化した場合、この基本シナリオを見直す必要がある」と分析した。市場は「再編はあり得る」という結論だと受け止めている。
(次ページ)最大の理由 野村株の低迷