若者の車離れ
東京モーターショーで最も注目を集めた車の一つが、トヨタ自動車が来春発売する新型スポーツカー「86(ハチロク)」だ。市販モデルとほぼ同じ車を公開し、ひときわ来場者の目を引いた。開発を担当したチーフエンジニアである多田哲哉氏に聞いた。
--トヨタブランドとしては久々のスポーツカーだ
「86以前のスポーツカーといえば、1999年発売の『MR-S』までさかのぼる。10年以上の間が空いた。実はスポーツカーの企画は、毎年提案されていたが、投資効率が悪いということで、見送られ続けてきた」
「しかし、若者の車離れが問題視され、会社でも危機感が高まってきた中で、2007年1月に全役員を集めた対策会議が開かれ、『もうかる、もうからないに関係なく、みんなが買えるスポーツカーをつくろう』ということが決まり、動き出した」
「自分は当時、ミニバンのチーフエンジニアとして企画を進めていたが、その年の3月、技術担当の役員に呼び出され、『スポーツカーのチーフをやれ』と命じられ、それから若い技術者2人とのチームが始動した」