ソニーが韓国サムスン電子とテレビ用液晶パネルの合弁事業解消に向けて交渉していることが30日、わかった。合弁会社「S-LCD」の持ち株をサムスンに売却する方向で、年内にも合意を目指す。世界的に供給過剰となった液晶パネルの価格下落が止まらない中、台湾メーカーなど国内外から低価格のパネルを広く調達することで収益改善を図りたい考えだ。
S-LCDは2004年に両社の折半出資で設立し、05年から韓国中西部の忠清南道で生産を始めた。ソニーはこれまで、計約1兆9500億ウォン(現在の為替レートで約1300億円)を投じ、出資比率に応じて液晶パネルの約半分を引き取っていた。だが、近年のパネル価格下落で調達コストが割高になっていたとみられる。
またソニーは、大型液晶パネルなどを生産するシャープ子会社(堺市)にも出資しているが、今年4月末までに予定していた追加出資を来年3月末まで先送りしている。
ソニーのテレビ事業はS-LCDを設立した04年から7年連続赤字で、今期も赤字の見込み。テレビ事業を統括する平井一夫副社長を中心に同事業の構造改革を進めている。
その一方で、27日にはスウェーデンのエリクソンと折半出資する携帯電話端末事業の合弁会社の完全子会社化を決めた。不採算部門は生産コストをそぎ落とし、成長市場に投資する「選択と集中」戦略を加速させる。