日本で急成長する中国新興スマホメーカー 避けられない米中対立の影響

世界的にスマートフォン市場で急成長し、一時はトップシェアを獲得したファーウェイ・テクノロジーズ。同社は2019年に米国から制裁を受けたことで、スマートフォン事業が危機的状況に陥り、日本市場でも急速に存在感を失ったことは記憶に新しい。

ファーウェイ(HUAWEI・華為)のロゴ=東京都千代田区(三尾郁恵撮影)
ファーウェイ(HUAWEI・華為)のロゴ=東京都千代田区(三尾郁恵撮影)

だが実は、その後も中国メーカーは日本市場に向けて攻勢を強めている。その代表的存在となるのがオッポとシャオミだ。オッポは2004年、シャオミは2010年の設立といずれも新しい企業なのだが、中国や新興国を中心として急速に販売数を伸ばし、現在は両社ともにスマートフォン出荷台数の世界シェアで5本の指に入る大手企業となっている。

日本市場に受け入れられた中国製スマホ

その2社が日本に進出したのは、オッポが2018年、シャオミが2019年と、やはりごく最近のこと。だが両社はその後、家電量販店などのオープン市場(いわゆる「SIMフリー」)向けを中心として積極的にスマートフォンを投入、短期間のうちにKDDIやソフトバンクへの端末供給も実現するなどして市場での存在感を高めている。

しかしなぜ、2社は短期間のうちに日本市場で急成長できたのだろうか。理由の1つは、やはり価格競争力に強みを持つことだろう。先にも触れた通り、オッポやシャオミは世界的に高いシェアを持っており、スマートフォンの製造に必要な部品を大量かつ安価に調達できることから、他のメーカーよりもスマートフォンを安く作って販売できる。

しかも2社は新興国で、低価格ながら性能が高いコストパフォーマンス重視のモデルを販売して人気を獲得してきた経緯がある。それゆえ他のメーカーよりも安価な端末のラインアップが充実しており、日本市場における両社の主力機種はオッポが「Reno A」シリーズ、シャオミが「Redmi Note」シリーズと、いずれも3〜4万円前後の中価格帯モデルだ。

そうした高いコストパフォーマンスを誇るスマートフォンが、政府の端末値引き規制などで高額なスマートフォンを購入しづらくなった日本市場で受け入れられ、急成長へとつながったわけだ。以前、日本市場で低価格スマートフォンの市場はファーウェイ・テクノロジーズの独壇場だったのだが、同社が日本でスマートフォンを提供しにくくなったことも両社の急伸には大きく影響したといえる。

だがもう1つ、2社が大きく伸びた要因として忘れてはならないのが、日本市場に向けた積極的な端末のカスタマイズである。日本のスマートフォン市場は、世界的に見てかなり特殊な市場と言われており、顧客が製品に非常に高い品質を求めるだけでなく、高い防水性能、そして「おサイフケータイ」などを利用するのに必要な近距離無線通信規格「FeliCa」への対応など、日本市場独自の機能を求める傾向が強い。

日本のローカルな需要に海外メーカーが対応するには、端末に独自のカスタマイズを加える必要があることから手間とコストがかかり、製品の価格が上がって競争力を失う可能性も出てくる。それゆえファーウェイ・テクノロジーズをはじめ多くの海外メーカーは、製品価格を重視し防水・FeliCaへの対応を避けていたのだが、2社はあえて積極的に対応するという策に打って出たのだ。

実際、オッポは参入して間もない2018年9月に発売した「OPPO R15 Pro」で防水(IPX7)・FeliCaに対応。シャオミは2021年2月にソフトバンクから発売された「Redmi Note 9T」でFeliCaに初対応しており、同年8月にKDDI(au)から発売された「Redmi Note JE」で防水(IP68)・FeliCaの両対応も実現している。

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